EMBRACE SELF-UNDERSTANDING COLUMN
感情に振り回されるとき、
どうすればいい?
感情と折り合う3ステップ
感情を消すのではなく、
自分を理解し、行動を選び直すために。
「また感情に振り回されてしまった」
「落ち込む自分が嫌い」
「泣くのは弱いことだと思ってしまう」
そうやって自分の感情を責めるほど、苦しさは長引きます。
必要なのは、感情をなくすことではありません。
感情に気づき、自分に戻り、その後の行動を選び直せることです。
最初にすることは、感情を抑えることでも、原因を急いで分析することでもありません。「私は今、腹が立っている」「悲しい」「不安だ」と、起きている感情を短い言葉で認めます。そのうえで、自分が大切にしたかったものを確かめ、今の状況に合う行動を選びます。
「感情に振り回される」とは、感情があることではない
怒る、泣く、落ち込む、不安になる。これらは、誰にでも起こる自然な反応です。感情が強く動いたからといって、弱い人や未熟な人ということにはなりません。
感情に振り回されている状態とは、感情と行動の間に余白を持てない状態です。怒りのまま言い返す、不安から何度も確認する、悲しんだ自分を責め続ける。感情そのものより、その後の反応が自分を苦しめます。
感じることと、感じたまま動くことは違う。
その間に「選べる余白」をつくることが、感情と折り合うということです。
感情を抑え込むと、違和感の意味まで見えなくなる
私たちは、「泣かないで」「我慢して」「怒ってはいけない」と言われながら育つことがあります。仕事では、つらくても笑顔で対応し、相手を優先することを求められる場面もあります。
その積み重ねによって、「感じないこと」が大人らしさや専門性だと思うようになることがあります。しかし、感情を押し込めても、起きた反応そのものが消えるとは限りません。身体の緊張、帰宅後の反省、突然の涙、理由の分からない疲れとして残ることがあります。
感情は、命令ではありません。けれど、今の自分に何が起きているかを知るための情報にはなります。
「感じてはいけない」と否定し、何事もなかったように振る舞う。反応の理由が分からないまま残りやすくなります。
「今、私はこう感じている」と認め、背景を確かめる。その後の伝え方や距離を自分で選びます。
感情の奥には、自分が大切にしたかったものがある
怒りの背景には、境界線を越えられた感覚、不公平さ、分かってほしかった気持ちがあるかもしれません。悲しみの背景には、失ったものや、大切にしていた関係があるかもしれません。不安は、先が見えないことや、守りたいものの存在を知らせている場合があります。
ただし、感情の意味は一つではありません。「怒りの下には必ず悲しみがある」「すべての感情の奥には愛がある」と決めつけると、かえって自分の本音から離れることがあります。
大切なのは、一般的な正解を当てることではなく、この場面で、自分は何を嫌だと感じ、何を守りたかったのかを確かめることです。
感情と折り合う3ステップ
揺れないことがゴールではありません。
揺れたあと、自分に戻って選び直せることが、自分を守る力になります。
実例|上司の一言で、帰宅後も落ち込んだとき
感情と折り合えるようになると、何が変わるのか
感情に振り回されなくなるとは、いつも穏やかでいられることではありません。嫌なことを嫌だと認めても、相手を攻撃せずに済む。悲しんでも、自分まで否定せずに済む。相手の反応を、すべて自分の責任として抱え込まなくて済む。そうした変化です。
すると、人生は「間違えないための正解探し」から、自分の状態を確かめながら選ぶ体験へ変わっていきます。
もう、無理に前向きになる必要はありません。感情を置き去りにせず、今の自分にできる選択を一つずつ重ねる。その動きが、静かに次の一歩をつくります。
この記事の要点
- 感情が生まれること自体は、弱さではない
- 感情に振り回されるとは、感情と行動の間に余白を持てない状態
- 感情は命令ではなく、自分の状態を知るための情報になる
- 「気づく・戻る・選び直す」の順で整理する
- 感情の意味を決めつけず、この場面で何を大切にしたかったかを確かめる
- 我慢するか反応するかの二択を離れ、今できる対応を選ぶ
感情との付き合い方について、よくある質問
Q. 感情に振り回されるとは、どのような状態ですか?
感情が生まれること自体ではなく、感情と行動の間に余白を持てず、衝動的に反応したり、自分を責め続けたりする状態です。
Q. 感情は抑えないほうがよいのですか?
感情を認めることと、感じたまま行動することは別です。まず感情に気づき、その背景を確かめてから、今の状況に合う行動を選びます。
Q. 感情と折り合うために、最初に何をすればよいですか?
身体の反応を確認し、「私は今、腹が立っている」「悲しい」と短い言葉で認めます。すぐに理由や正解を探さなくても構いません。
Q. 一人で感情を整理できないときは、どうすればよいですか?
信頼できる人や相談サービスを利用してください。強い不調が続き、日常生活に支障がある場合は、医療機関や公的な相談窓口へ相談することも大切です。
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執筆:柴田恵美
Embrace主宰。違和感を自己理解につなげる専門家。看護師として13年、看護教員として17年、学生や現場スタッフの育成に携わる。4,000件を超える個別対話とMBAで学んだ人材育成・組織の視点をもとに、違和感を言葉にし、自分で納得できる選択へつなげる対話を行っている。

